▼『大災難P.T.A.』というコメディ映画を観た。

▼主演はスティーブ・マーチンと、今はなきジョン・キャンディ。

▼そして制作/監督/脚本はジョン・ヒューズ。『ホーム・アローン』シリーズでお馴染みの映画作家だ。

▼この男、ジョン・ヒューズこそ、現代アメリカ映画界で唯一、フランク・キャプラ直系の映画作家と云えるのではないだろうか。

▼同様に、随所にキャプラへの目配りを忘れずにいる作家にスピルバーグがいるが、彼の場合は作風の間口が広くて、さほどキャプラ色というものは見受けられない。

▼そこへいくとヒューズには、野心とか、けれん味とかがなく、ただひたすらに<面白いアメリカ映画>を創っていこうという職人意識が感じられて、じつに清々しいじゃないか。そして、彼の職人意識には、この<アメリカ映画>という一点にのみ志がある。

▼ヒューズの映画に出てくる<アメリカン・ハウス>や、<アメリカン・モーテル>や、<アメリカン・ダイナー>などのエクステリアとインテリアの美しさはどうだ。たまらなく愛らしい。

▼まあ判りやすいところで比べれば、『ウォール街』や『アメリカン・サイコ』などで見かける、金で名作家具やモダンアートを買い漁ったような、冷たいインテリアのもつ醜悪さとは極北にあるものだ。

▼同様に、ヒューズの<アメリカン・グッズ>の美しさはどうだ。

▼たとえば車。

▼<アメ車>の美とはこのように、生活の道具でもあり、生活の友でもあったカウボーイの<愛馬>の如くでなければなるまい。コッポラみたくヴィンテージ・カーを出演させて、哀悼の意を表明すればいいってもんじゃないだろう。

▼<アメ車>を含めて、<工場>とか<機械>とかさ、さまざまな<アメリカ的アイコン>の映像化については、他にはデビッド・リンチのみが、ヒューズの美意識に達していると思うね。

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